武蔵野市では、昔は小麦の生産が多く、旧家では地元産の小麦を製粉した「地粉」で手打ちうどんを作って冠婚葬祭のときなど、お客様のおもてなしに振舞う習慣がありました。いにしえの食文化を伝承しつつ、武蔵野台地で栽培された小麦粉を使用して新たに創作され、武蔵野市の名物として誕生したのが「武蔵野地粉うどん」です。
「武蔵野地粉うどん」の麺の特徴は、小麦の旨さと歯応えのあるコシの強さにあります。
汁は豚肉と長ねぎ等を煮た温かく濃い醤油味で、その汁に地元で収穫された季節の野菜「糧(かて)」を入れてお召し上がりいただきます。
現在、武蔵野市を中心として、オレンジののぼり旗のあるお蕎麦・うどん店でお召し上がりいただけます。それぞれのお店のオリジナルの味も楽しみのひとつです。
こちらの情報は取材当時2013年のものです。
武蔵野地粉うどんの開発にあたり武蔵野市の麺類組合の開発プロジェクトチームによる第一回目の試食会が「大むら」で開催され、店主が調理担当。もりタイプを出したところ、評判がよくゴーサインとなった経緯がある。うどんは手ごねの機械打ちで、白くみずみずしい輝きが特色のややスリムな中細。「お客様の注文を受けてから茹でるため、この太さでもお出しするのに10分はかかる。お待たせしないために、この太さになりました」(店主)。香りがよく程よい固さの食感は、濃口醤油から作る〝かえし〟を鰹出汁で割った辛口の東京風のつけ汁とぴったりでくせになるうまさ。ただし、週末10食のみの限定品となっている。 |
〒180-0023 東京都武蔵野市境南町4-9-2 |
尾張屋が地粉うどんに使う小麦粉は、麺類協同組合武蔵野支部と武蔵野商工会議所がタッグを組んだ商品開発プロジェクトチームで研究を重ねたもの。武蔵野台地でとれる小麦粉「彩奥義」に市内の小麦粉をブレンドした国産100%もの。汁はオリジナルで豚バラ肉と長ねぎがたっぷりと入る。やや甘めの味が香りのあるコシの強いうどんによく合う。「若い人から年配の方までお客様からは麺の固さがいいねと好評です。今まで残して帰った人は誰もいませんよ」(店主)。冷たいもりも温かいかけも食べられる。成蹊大学正門前にあるおそば屋さんとして、学生と住人に愛されている地域の拠点でもある。 |
〒180-0004 東京都武蔵野市吉祥寺本町4-25-7 |
以前は、さぬきタイプのうどんを出していたが、武蔵野地粉うどんの開発を機にお店のうどんを全て地粉に切り替えた。すると、そば8:うどん2くらいの割合だった注文が、冬などは5対5まで出るようにまでなったという。「そばの注文が減ったわけではなく、武蔵野地粉うどんの人気が出たためです」(店主)。こだわりの出汁は、鰹節を毎朝削って削りたてを使う。豚肉とほうれん草の入った汁に、地粉うどんをつけて食べる。甘みのあるやさしい味が口にひろがる。糧(かて)もたっぷり。もやし、人参、キャベツ、えのき、たまねぎ、しいたけ。7種類の野菜で栄養バランスにも配慮している。刺激ある味を求める向きにはピリ辛地粉うどんもある。味噌の風味と唐辛子の辛味がきいたからしみそのつけ汁は地粉うどんにも相性バツグン。 |
〒180-0022 東京都武蔵野市境2-11-2
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さらしなのうどんは、武蔵野地粉の手打ち、もっちりしこしこの中太麺。汁は本鰹、宗太鰹、鯖をブレンドした昔懐かしい素朴な味で、豚バラ肉としめじがよく合う。もりタイプをメニューには出しているが、要望があればかけも作ってくれるという。店主は、武蔵野地粉うどんについて、「麺類組合や仲間の皆さんと研究を重ねて武蔵野名物としてとてもいいものができたと思います」と喜ぶ。「駅に近い他のお店さんと違って、うちは離れていますから、よそより安く提供しています」と赤字覚悟のサービスぶり。平成に入って以来、値上げをしていない他にも最近めっきり減った出前のサービスがあるなど、近隣の住人や会社などにとっては、いまどきうれしい店舗。 |
〒180-0001 東京都武蔵野市吉祥寺北町1-5-16
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砂場のそばは白くて細い江戸前タイプだが、お店の地粉うどんも細目のやや平べったい形で、三つ葉と豚肉の入った辛めの汁が麺によく絡む。うどんに添えられる糧(かて)も5品とぜいたくで、大根、人参、ほうれん草、小松菜、白菜の下茹でしたものをそれぞれ食べやすく細く切りそろえている。「吉祥寺の特色は年配の方から若い世代や子どもまで全ての世代が楽しめる街。うちでは年配の方でも食べやすいようにうどんも糧も細くしました。ランチメニューとして地粉うどんは人気です。お昼にそばだけじゃちょっと物足りないですからね。一日平均20杯は出ますよ」(店主)。そばの名店の〝お昼の人気者〟として「砂場」の武蔵野地粉うどんの指名客は急増中。 |
〒180-0004 東京都武蔵野市吉祥寺本町2-15-32-B1
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中清の武蔵野地粉うどんは機械を使わない完全な手打ち方式で、一日寝かせるなどの手間と時間がかかるため、前日の予約が必要となる。基本的にはもりタイプ(かけタイプも相談にのってくれる)。うどんは無漂白のややくすんだ色ながら、香りがよくコシも強い。ねぎ、海苔の薬味を添えて、本鰹節だけの辛汁(からじる)につけていただく。うどんのモッチリ感とさっぱりした後味が印象的でどんどん箸が伸びて、一人前ならあっという間だ。お店の名物は、「あずまそば(更科)」と「さとそば(田舎)」のこだわりの二八そば。酒とそばにこだわりのある硬派のそば通にとっては、知る人ぞ知るお店。店内の中央にドンと置かれた大きな石臼が御主人のそば作りへの並々ならぬ決意を物語る。 |
〒180-0004 武蔵野市吉祥寺本町4-4-15 |
武蔵野地粉うどんの市販第一号店である仲屋のうどんは機械練りの手切り。もりタイプがメニューに載るが、注文があれば、かけも作ってくれる。もりは、白くてピカピカの中太乱切り。一口食べるとコシの強さに驚くが、歯ごたえは絶妙で固め好きにはこたえられないうまさだ。大盛を無料サービスしてくれるが、女性の注文が多いというのもうなずける。汁は濃い目で独特の甘さがある。よく見ると油がうっすらと浮いているがこれがおいしさの秘密。「うちは、千葉の〝元気豚〟というブランドの肉を使っています。この肉からはきれいな油が出る。肉も甘みがあってさっぱりしている」(店主)。店主の話す通り、しょうゆと鰹節と元気豚が見事にマッチしたつけ汁は、地粉うどんの魅力を最大に引き出す名パートナーとなっている。 |
〒180-0014 東京都武蔵野市関前5-4-13
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お店で出す武蔵野地粉うどんは手打ちで、中太で白くつやつやとみずみずしくて美しいのが特徴。歯ごたえはしっかりしているが、ツルっとした喉越しで箸がどんどん進む。汁はもりもかけも豚バラ肉とねぎのほかに、しめじと厚く切ったかまぼこが入っているのがうれしい。鰹節の香りとほんのりとした甘味が口に広がり、胃にもたれない優しい味。糧(かて)の大根と小松菜を加えるとさらに甘みが広がりよりおいしくなる。布袋家は通常の2人前ほどもある大盛そばが有名だが、「おなかがすいている人には、おなか一杯食べてもらいたい」という店主の心意気だ。食欲旺盛な若い人達からご家族連れ、年配の方まで幅広い層に支持されている三鷹北口地区の人気店。 |
〒180-0006 東京都武蔵野市中町1-23-1
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やぶ浅の店主は、武蔵野地粉うどんの開発プロジェクトチームのリーダーでもあり、全てのうどんが武蔵野地粉製というやる気満々のお店。武蔵野台地で採れる「彩奥義」(さいおうぎ)をブレンドした小麦粉を木鉢で練り、さらに布で包んで足で踏んで生地を一晩寝かせる。三代目となる店主が20年前からこだわるスタイルを今も守り続けている。中細のうどんは、独特のコシと弾力があり、歯ごたえがよく、何とも言えずうまい。本節の鰹出汁の香りが見事でどんな具とも合う。平日は近隣のサラリーマンで賑わうが、休日や祝日は家族連れが中心。小さな子どもにはおまけのプレゼントをくれるお店の優しさが、代々続く「やぶ浅」の人気のひとつでもある。吉祥寺の買物帰りに足を伸ばして訪れたい名店。 |
〒180-0003 東京都武蔵野市吉祥寺南町2-10-15
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若松で出す武蔵野地粉うどんは、きし麺を太くしたタイプの平打ちをもりで出す。手で切るため太さがややふぞろいの田舎風だが、かえって汁がよく絡んでうまい。歯ごたえがしっかりしていて、コシが強いのが特色。これを熱々のやや甘口の汁につけてズルッズルッといただく。豚バラ肉、しめじ、ねぎ、細切りのナスがうどんと汁によく合う。ただし、うどん粉を練るのに手間がかかるため一日限定5食のみ。お客様の注文を聞いてから、生から茹であげるので注文してから15分はかかる。急いでいるときや混雑時は避けて余裕も持って出かけたい。かけタイプにも応じてくれる。そばも、もちろんこだわりの自家製麺。つなぎを使わない珍しい通好みの十割そばがある。手打ちの「十割せいろ」はお店の看板商品だ。一人前から出前を引き受けてくれるサービスもうれしい。 |
〒181-0011 東京都三鷹市井口5-2-13
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かてめん圏:埼玉県鴻巣市
「川幅日本一」にちなんだ川幅うどんは、幅が5cm以上もある「超」幅広。めんを持ち上げる「ドキドキ感」と「モチモチ」の食感が魅力。
かてめん圏:山梨県富士吉田市
富士山麓の参詣者や織物市に集まる人々にふるまわれていた吉田のうどん。こしの強い固いめん、それぞれのお店が工夫を凝らした多彩なメニューが特徴です。
かてめん圏:栃木県足利市・佐野市・栃木県出流町
国道293号をメイン街道に、足利市、佐野市、栃木市出流(いずる)町まで及ぶ、粉食文化が盛んで、多彩な麺を味わうことができる地域。中でも耳うどんがユニーク。
かてめん圏:埼玉県加須市
手打ちならではの光沢があり、みずみずしい「コシの強さ」と、「のど越しの良さ」が身上のめん。渡舟場や門前の参拝客をもてなしたのが始まりとされる。
かてめん圏:東京都武蔵野市
いにしえの食文化を伝承しつつ、武蔵野台地で栽培された小麦粉を使用して新たに創作された武蔵野市の名物「武蔵野地粉うどん」。小麦の旨さと歯応えのあるコシの強さが特徴です。
かてめん圏:埼玉県所沢市
「かて(糧)うどん」と呼ばれ、季節の野菜をさっとゆでて水切りしたものを、うどんと一緒につけ汁につけていただく。これが所沢手打うどんの特徴です。
かてめん圏:群馬県渋川市以下歩調水沢付近
粉と水と塩だけが原料、秘伝の手打ちの技によるコシと喉越し。水沢寺参拝客に振る舞ったのがそもそもの起源ともいわれる千三百年もの歴史を持つうどん。
かてめん圏:東京都武蔵村山市
「かて」とは、小松菜やほうれん草など季節季節の旬のゆでた野菜のこと。「うどん」と一緒に濃い目の醤油味のつけ汁につけていただきます。
かてめん圏:群馬県高崎市
「きぬの波」という小麦の品種を使ってつくられる「高崎うどん」。色が白く、つるつるとした喉ごしの良さが特徴です。麺はやや細めで冷たいうどんに最適です。
かてめん圏:東京都東久留米市
江戸時代の「幻の小麦」を復活させた東久留米市のうどん。つるつるとしたのど越し、香りがよく上品な味わいです。かて(糧)と一緒にいただきます。
かてめん圏:栃木県小山市
小山市で生産される「イワイノダイチ」という品種の小麦からつくられる、モチモチ、つるつるとした食感、見た目にも美しい透明感が自慢のうどんです。