朝日新聞夕刊全国版9月8日掲載の
新聞原稿もご覧ください。
いま巷では、炭水化物をできるだけ摂らないようにする「糖質制限ダイエット」が話題になっていますよね。たびたび是々非々の議論が交わされているこの話題ですが、ほんとのところはどうなんでしょう?小麦は炭水化物をメインの栄養素とする食物。そして、小麦を通じたコミュニケーションで日本を元気にする活動を行っている「コムギケーション倶楽部」としては、大変キニナル話題です。「糖質制限食って、ほんとのところどうなんですか?」名古屋学芸大学大学院で栄養科学を専門に研究している下方浩史教授に聞いてみました。
『確かに糖質制限食では、日本人のエネルギー摂取の55%を占める炭水化物を制限することで、摂取するエネルギー自体が減少し、体重も減ります。しかし、エネルギー摂取量が減れば、炭水化物をたくさん食べる・食べないにかかわらず体重は減ること、さらに長期的な体重への影響と糖質は相関がないことが研究*1で判明しているんですよ。
また、炭水化物を制限しながら必要なエネルギーを確保することになると、高脂肪・高タンパク食となり、動脈硬化が進行して寿命が短くなる可能性が高いとも考えられます。低炭水化物の食スタイルが死亡率の増加と関連する研究結果*2も発表されています。高炭水化物・低脂肪のニッポンの食卓は、世界でも注目されているんですよ。』
[参考文献]*1)Comparison of weight-loss diets with different compositions of fat, protein, and carbohydrates. Sacks FM et al. N Engl J Med. 2009 Feb 26;360(9):859-73.
*2)Low-carbohydrate diets and all-cause and cause-specific mortality: Two cohort Studies. Teresa T. Fung Frank B. Hu et al. Ann Intern Med. 2010 Sep 7; 153(5): 289–298.
これまでに長寿大国ニッポンの食卓を調査してきた、本「コムギが長寿を調査する!プロジェクト」。このたび日本人の傾向の縮図といわれる首都圏において、“コムギ食を食べているシニア412人”を対象にした食実態調査を行いました。調査を基に判明した結果を発表しています。シリーズ記事もご覧ください。
※原稿監修:名古屋学芸大学大学院 栄養科学研究科・医学博士 下方浩史教授
調査方法: | インタ-ネット調査 |
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調査地域: | 首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉) |
スクリーニング調査: | ●60代男性 ●60代女性 ●70代男性 ●70代女性 各400名、計1600名 |
本調査: | 上記スクリーニング調査から「コムギ食を食べていない」方を除外して、任意に60代男性・60代女性・70代男性・70代女性 各103名、計412名を抽出 |
調査期間: | 2017年7月5日~7月15日 |
調査機関: | コムギケーション倶楽部 (マクロミルモニターによる東京サーベイリサーチ) |
◎「バランスよく食べたい」「血糖値に問題がない」等から糖質制限は必要ない 88%
○血糖値の問題等から糖質制限を実施中 8%
○糖質制限は必要だと思うので今後実施したい 4%
*健康自認度を 10段階に設定したアンケート結果による集計
全体平均 | 健康優等生 | |
①うどんが好き | 46% | 50% |
②ピザが好き | 35% | 41% |
③食パンが好き | 49% | 50% |
④そうめんが好き | 47% | 49% |
⑤パンケーキが好き | 22% | 24% |
●男性 70歳
糖質が基本的に好きなので、特保の飲み物を飲んだり野菜を摂取しています。特にサラダは毎日食べています。
●男性 73歳
「糖質制限」というとおいしい物が食べられないと感じてしまい、食事が味気なく思えてしまう。私は血糖値も正常値なので、糖質制限をしていません。
●男性 77歳
糖質はある程度摂取する方が良いのでは。炭水化物ダイエットには疑問を感じます。
●女性 73歳
「糖質制限」という言葉はよく聞くけれど、昔の人は白米食に粗末なおかずでも長生きしたのだから、これからも自分のスタイルを変更するつもりはありません。白米・麺類が大好き。
●女性 71歳
制限するのではなく、バランスよく摂取するのが大事だと思います。
●女性 73歳
糖質制限食はどう考えても長続きしないので、そういう食品を摂らなくてもいいように生活全体を見直したいです。
●女性 77歳
腹八分目を心がけていれば、糖質制限は必要ないと思っています。