朝日新聞夕刊全国版9月12日掲載の
新聞原稿もご覧ください。
最近なにかと「炭水化物をカットする糖質制限ダイエット」の話題をよく聞きます。これは一時的な現象なのでしょうか?一方、日本人が世界一のご長寿大国となったのは、先進国の中でも糖質を一番たくさん摂っている国だから、という説もあるそうです。
「日本人は糖質食を食べてきたから長寿大国になったんでしょうか?」名古屋学芸大学大学院で栄養科学を専門に研究している下方浩史教授に聞いてみました。
『人類は1万年前に狩猟生活から農耕生活へとシフトしました。それから飢餓の危険が減って栄養状態が改善したことで、人口は10倍にも増えたと言われています。小麦は1万年前にメソポタミアを中心に栽培が始められた世界最古の作物です。なんとエジプトでは5千年前からパンが焼かれ食べられてきました。世界的に見て小麦は常に人類文明とともにあり、人類を支えてきたと言っても過言ではありませんね。日本でも弥生時代に麦が畑作されていたそうです。近年では1970年代ごろから日本の食の西欧化が始まり、コムギ食は主食としてよく食べられています。そして、日本人の食事は先進国の中でも、圧倒的に炭水化物からのエネルギー摂取割合が多いのが特徴です。日本人が健康長寿なのは、食生活を中心とする生活習慣による部分が大きいと思われる説があります。それは、米国で考案された高血圧や心臓病を予防するための食事療法「DASH食*」とよく似ているからです。「DASH食」は炭水化物からのエネルギーが55%となっており、高炭水化物・低脂肪の日本人の食事内容はまさしく、「DASH食」のようなバランスとなっているんですよ。実はすごいんです、ニッポンの食卓。』
*DASH食はDietary Approaches to Stop Hypertension(高血圧を防ぐ食事方法)の略語で、高血圧の改善に高い効果がある食事療法として推奨されています。
「コムギが長寿を調査する!プロジェクト」が行った“コムギ食を食べているシニア412人”を対象に行ったアンケート調査でも、炭水化物がお好きな健康シニア層の姿が浮かび上がりました。
※原稿監修:名古屋学芸大学大学院 栄養科学研究科・医学博士 下方浩史教授
調査方法: | インタ?ネット調査 |
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調査地域: | 首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉) |
スクリーニング調査: | ●60代男性 ●60代女性 ●70代男性 ●70代女性 各400名、計1600名 |
本調査: | 上記スクリーニング調査から「コムギ食を食べていない」方を除外して、任意に60代男性・60代女性・70代男性・70代女性 各103名、計412名を抽出 |
調査期間: | 2017年7月5日?7月15日 |
調査機関: | コムギケーション倶楽部 (マクロミルモニターによる東京サーベイリサーチ) |
70代男性 | 70代女性 | |
?炭水化物が好き | 93% | 93% |
?お米が好き | 97% | 98% |
?パンが好き | 88% | 89% |
?麺類が好き | 94% | 95% |
?甘いものが好き | 80% | 88% |
*健康自認度を 10段階に設定したアンケート結果による集計
全体平均 | 70代女性の 健康優等生 |
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?白飯をほぼ毎日食べている | 81% | 83% |
?食パンをほぼ毎日食べている | 43% | 55% |
?うどんを2?3日に1回以上食べている | 16% | 26% |
?そうめんを2?3日に1回以上食べている | 14% | 24% |
?白飯 99% ?お寿司 98% ?おむすび 97% ?食パン 95%?惣菜パン 92% ?焼きそば 94% ?蕎麦 93% ?うどん 91% ?パスタ 90% ?ピザ 85%
60代男性 | 70代男性 | 60代女性 | 70代女性 | |
?今後コムギ食摂取は 増加していくと思う |
14% | 17% | 15% | 21% |
?今後もコムギ食摂取は 変わらないと思う |
80% | 74% | 84% | 79% |
?今後コムギ食摂取は 減少していくと思う |
6% | 9% | 1% | 0% |