「パン工房 青い麦」修行。2004年横浜市青葉区に「ボンヴィボン」を開業する。2010年「モンディアル・デュ・パン」第3回大会の日本国内予選において、クロワッサン部門・バゲット部門で第1位。「ボンヴィボン」経営の傍ら、国内外でプロ向けの講師活動を行っている。
祖父、父と3代にわたってパン屋を営んできた血を受け継ぐ、生粋のパン職人・児玉シェフ。自身でオープンさせた「ボンヴィボンBon Vivant」は “幸せに生きる”という意味を表すフランス語で、父「幸生」さんのお名前と、「お客さまにおいしいパンを食べて幸せに生きてほしい」という願いを込めて名付けたそうです。お客さまに日々の生活の一部として安全なパンを食べてほしいという思いから、食事パンから菓子パンまで幅広いラインナップを展開。それぞれのパンに合わせてつくりたい味わいに沿ったコムギ品種を選別し、パン生地のおいしさにとことんこだわったパンづくりを追究しています。
『「パン・ド・ロデブ」はフランスのロデブ地方でよくみられるパンで、日本では「パン・ド・ロデブ」と呼ばれていますが現地ではそういった名前のパンはないんですよ。別名「パン・ド・スープ=スープのようなパン」と呼ばれるぐらい水分が多いのが特徴。今日はそうしたムッチリ感を感じられるような仕上がりを目指します。パンづくりというのは“こういうパンがつくりたい”というゴールを決めて、そのつくりたいパンによって工程を考える必要があるんです。材料が同じ配合でもベンチタイムの時間やパンチのタイミングなど工程が違えばガラリと変わる。大切なのは、自分がどういうパンをつくりたいか、ハッキリとイメージすることです。今日はベンチタイムを短めにしながら一次発酵で調整しますね。』
『日本のコムギ、特に北海道産のコムギのおいしさが私は好きですね。「ボンヴィボン」では「キタノカオリ」100%とか「春よ恋」、「ゆめちから」で食パンを焼いています。それぞれとても特徴を出せるし、単純に『おいしい』ですよね。いまレッスンしている「パン・ド・ミ・レーズン」は“ムギュっとした食感”に仕上げたいというのが一番強い思いなので、「ゆめちから」を使うのがおすすめ。今日のレッスンでは生地をどんどん触って、しっかり感触を確かめてくださいね。ひとつのパンを焼き続ければ自分のコツがわかってきます。パンづくりの工程って本当に自由で、決まりがない。やってはいけないことがないから。逆に言えば、レシピ通り忠実につくっても同じものは絶対にできない。この食材を使ってみたらこういうパンになった、というのを覚えていれば自分のものになっていきます。自分なりの感覚っていうのがあると思うんです。ひとつのパンを追究して、“自分なりの味わい”をぜひつくりあげていってください。』
『私は、パンづくりにとって一番重要なのは生地の状態の見極めだと思っています。ずばり、追い求めているのは“食べてコムギのうまさがわかるパン”です。今日のレッスンで登場した「パン・ド・ロデブ」なんかは特に、シンプルなんだけどおいしさをとことん追究しがいのあるパンだと思います。パンづくりは本当に勉強が尽きなくて、正直まだまだ修行中だなと。特に近年はさまざまな和麦の品種が出てきていて、自分の考えとどのように和麦の特性がマッチするのか研究しがいがある時代。“とにかくうまいパンをつくりたい”そんな強い思いを抱きながら、パン生地で勝負していくお店を続けていきたいですね。』
『聖樹のパン』原作者・山花典之さんと
コムギケーション俱楽部 北海道産小麦アドバイザー 佐久間良博さん
シェフのように生地の状態を見極めることはまだできませんが、自分なりの感覚を大事にしていこうと思いました。
イメージするパンと和麦の相性、それから工程の組み立て方を考えるというお話は目から鱗でした!
「自分にとってのおいしいパンって、どんな味わいなんだろう?」そんなことを改めて考えるきっかけになりました。