「エルヴェラヴィ」
吉川成輝(しげき)オーナーシェフ
実家の稼業である八百屋で家族が忙しかったため、幼いころから包丁を握るようになる。遊びに来る友だちが自分の料理を『おいしい!』と食べてくれることがうれしくなり、『もっとたくさんの人によろこんでもらいたい』と料理の専門学校へ進学。フランス料理を学んでいくうちにフランス文化にも興味が芽生え渡仏、フランスの3つ星レストラン「ル・プレ・カトラン」などで修業しフランス料理の道を究めていく。2011年に帰国、春日井市シェ本山にてシェフに就任。はテロワール(風土)を大事にし、地元の素材・特産をふんだんに用いて、春日井の方はもちろん、遠方からのお客様にも自然の恵みを味わっていただけるフレンチ料理を披露。2014年、地元の素材を活かしたアプローチの新たな展開することを決意し、“命を育む”の意味をもつベジスイーツ店「エルヴェラヴィ」をオーナーシェフとしてオープンさせる。
地元の厳選した食材にこだわる吉川シェフ、愛知和麦「きぬあかり」との出会いを語ります。 『愛知和麦「きぬあかり」に出会ったのは、小麦粉を60種類くらい集めてブラインドをしていたときです。そのときに「これだ!」と思い取り入れました。なんといっても香りや甘みが全然違いましたね。添加物やアーモンドパウダーなどが一切入っていないのに、とても甘みが強いんです。』
『「きぬあかり」は愛知県でうどん用に開発された中力系の和麦品種なんですよね。スイーツの世界ではタンパクの少ない薄力粉が使われるのが通常ですが、「エルヴェラヴィ」ではすべて中力粉であるこの「きぬあかり」でベジスイーツをつくります。薄力粉も強力粉も使わず全て「きぬあかり」を使用し、いわゆるスイーツづくりのセオリーという固定概念にとらわれることなく、その都度研究して「きぬあかり」の可能性を広げていただいています。』「きぬあかり」を製粉する「金トビ志賀」志賀社長もレッスンに登壇いただきました。
フランス料理を学んできた吉川シェフが、料理のジャンルを飛び越え“ベジスイーツ”への挑戦を始めたきっかけはなんだったのでしょうか。
『“テロワール”という言葉を耳にされたことがある方もいらっしゃいますでしょうか。風土や文化、その土地の気候を含めた地域性を重んじ、その土地に根ざす食材を活かした料理を仕立てるという考え方です。学んできたフランス料理を軸としていま「ベジスイーツ」というジャンルに取り組んでいますが、ベースの考え方は愛知の食材を大事にしたい思いです。実は農業大国である愛知県の食材・野菜をおいしく食べてほしい、そんな思いを料理に込めています。』
今回のレッスンは愛知の里芋を使った「里芋シブースト」づくりです。
『一般的に里芋でスイーツをつくるという発想をする方はなかなかいないんじゃないでしょうか。今回のレッスンで学んだことをご家庭に持ち帰っていただいて、「こんな野菜の食べ方もあるんだよ」という話で団らんが盛りあがる、よい題材にもなると思うんです。里芋は煮物にすることが多い食材ですが、中には苦手な方もいらっしゃるようです。そういった方でもスイーツにすればもしかしたら食べられるようになるかもしれない。食べるきっかけとなる間口を広げられたら、と。トマトが嫌いな方の誕生日にトマトのケーキをつくって持って行ったこともありますよ(笑)一見罰ゲームのようにも思えますが・・・話題にもなって盛りあがりましたし「食べてみたらおいしかった!」と、それを機に友人はトマトを食べられるようになりました。特にお子さまはお母さんに「食べられたね」と言われたことがきっかけで、それまで嫌いだった食材が食べられるようになる、ということもあります。』
『里芋30gをきれいに洗って皮ごと茹でます。やわらかくなったら皮をむいてください。やさしく混ぜてペースト状になったら牛乳30gと一緒に鍋で熱します。そこに水で戻したゼラチンを4g入れてください。次にグラニュー糖20gと卵白40gを混ぜてメレンゲをつくります。先ほど鍋で沸かした里芋と合わせてセルクルに詰め、冷凍庫で冷ましましょう』
今回は里芋のシブースト以外にも「キャラメルお野菜マフィン」、と「野菜のパウンドケーキ」の作りつくり方もレッスンいただきました。同じ愛知和麦「きぬあかり」を使用していても、シブースト、マフィン、パンケーキ…それぞれ異なる味わいに、みなさん驚きのご様子でした。
里芋のシブーストは里芋独特の粘りがあって、もったりとした食感がおいしいです。
まさか里芋がこんなにおいしいスイーツになるとは驚きです!
マフィンがフワフワでとてもおいしかったです。
シブーストはサクサク、マフィンはフワフワ、パウンドケーキはしっとり…。すべて同じ「きぬあかり」の小麦粉でつくっているとは思えないくらい、いろいろな顔があるなと思いました。