コラボ授業レポート
大ナゴヤ大学×愛知コムギ体験隊のコラボ授業も早いもので5回目となりました。過去の4回は愛知ブランドの小麦「きぬあかり」を生かした商品についてのお話でしたが、今回は実際に開発に大きく携わった藤井先生、生産者の小野田先生からお話を聞いてみようという授業です。
教室は名古屋市内からは車に揺られて1時間弱ほどのお茶で有名な愛知県西尾市です。でも、今日はお茶の授業ではなく小麦です(笑)
生徒さんたちの自己紹介では、
・農業に興味がある。
・「きぬあかり」が好きだから生産者の顔や生産現場を見てみたい。
・うどん屋やっています。
など、多様なメンバーが集まりました。
まず最初に、「きぬあかり」の開発に挑んだ藤井先生のお話からスタートしました。今まで多くの大ナゴヤ大学の授業に参加させて頂きましたが、これほど緻密なデータと理論でお話される先生はいたでしょうか?(笑)
要点は、
・愛知県では、「農林61号」と「イワイノダイチ」の2品種の小麦が生産されてきた。
・従来品種には、収穫期が梅雨と重なり刈り遅れになりやすいことや、倒れやすいといった栽培面での欠点、コシの強いうどんが作りにくいといった品質面での欠点があった。
・愛知県農業総合試験場では、平成12年からこれらの欠点を克服し、収量が多く、高品質な小麦の品種改良に取り組んできた。
・平成23年に日本めん(うどん、きしめん等)に適した小麦新品種「きぬあかり」として品種登録された。
というものです。「きぬあかり」誕生までに多くの苦難があったのです。
では、「きぬあかり」はどんな品種特徴があるのでしょうか。
要点は、
・穂が長く、収量が大変多い。
・茎は短く、太いので倒れにくい。
・湿った穂場でも栽培できるので、水田転作を利用した栽培に適している。
・小麦縞萎縮病に強い品種である。
というものです。
なるほど。生産者にとっても作りやすいのは凄く有難いですよね。生産者、消費者にとっても夢の小麦なんですね。
次に、生産者のおのだ農園の小野田先生のお話です。
小野田さんは西尾市消防本部に8年勤務した後退職し、家業を継ぎ農家になります。かつては作ることに精一杯でしたが、今では自分たちがつくった「きぬあかり」を美味しいと言って食べてくれる人の顔が見えてモチベーションも上がり、常に食べる人の事を想像しながら生産に励んでいるのです。
その後は実際に小野田さんが「きぬあかり」を生産している畑を見せて頂きました。時期的にひょろっと芽も出ていましたが、踏んでも大丈夫との事で躊躇していた方々もみんなで畑に入りました。
ただ種を撒けばいいのではなく、小麦がどう育つか、育った後の向きなどをイメージして撒くそうです。農業は自然との戦いだと聞いたことがありますが、まさに自然を相手に先の先まで見越してする仕事なんですね!
畑だけでなく、実際のトラクターなども見せて頂きました。大きなトラクターが何台もありました。
最後は皆さんと「きぬあかり」で作ったきしめん、小野田先生の農園のお米で作られたおにぎりを食べながら感想を述べて終了となりました。
小麦の改良と一言では言い表せないくらいの苦労話をして頂き、小麦の有難さが身に染みました。愛知県は小麦の生産量が現在第4位です。1位は北海道、2位は福岡県、3位が佐賀県ですが、本州では1位ではないですか!すごいぞ、愛知県!
レポート:「大ナゴヤ大学」石坂喜和
写真:「大ナゴヤ大学」河津一輝