コラボ授業レポート
「まちのパン屋さん」と言えば、何を思い浮かべますか?
あんぱん、食パン、カレーパン。
今回は、愛知コムギ探検隊とのコラボ企画第3弾。小牧市で20年以上続く「ベーカリーTODO」さんのオーナーシェフ・澤田栄司さんがパンやさんになった理由、20年以上続けられている仕事への思い、そしてパンの原料・小麦のお話を、製粉会社の原口清次さんにお聞きし、きぬあかりの手作りパンを食べ比べてみよう!、という美味しく楽しく学ぼうという企画。
【オーナーシェフ・澤田さんのお話】
オーナーシェフの澤田さんは67歳。30年超のキャリアを誇るパン作りのプロですが、元々はプロの経営者。30歳のある日、神戸・三宮で「将来独立制度あり。住み込み可」の記事を目にし、3年でパン作りのプロになる事を決意。
焼き方は温度計ではなく窯を手で触って憶えたという衝撃の告白もありました。後に「発酵を知っているか?」の問いから、パンの神様・雁瀬大二郎氏の本を本屋さんで穴の空くほどに読み込み、舌で憶えて配合を研究。今でもイーストフードではなく、山葡萄を基にした天然酵母を用い、80種類近くのパンを朝5時から仕込み、販売されています。
「何をして欲しいかはパンが語ってくれる。聞く耳を持つのが職人」だそうです。お店の名前の様に、おおらか。そして、存在感のある大きな手が特徴的でした。
【製粉会社の工場長・原口さんのお話】
製粉会社の工場長・原口さんからは愛知県農業総合試験場が開発した新品種、「きぬあかり」をご説明頂きました。愛知県は実は隠れ農業県。小麦の作付面積では全国7位ですが、作付面積・10a当りの収穫量では都府県3位を誇ります。(H29年産)。
きぬあかりの特徴は収穫量が多く、収穫時期が早く梅雨と重ならない、背が低く倒れにくい等、沢山採れて育てやすい日本めんに適した小麦。そんなめん用小麦をパンにしたい。熱い思いで原口さんはシェフ・澤田さんに頼まれたそうです。
「職人は頼まれたら断れない。(小麦が)輝ける場所を見つけるのが仕事」。中力粉に近いきぬあかりのベスト配分を見つけられ、パンという素敵な出会いが生まれたのです。
【試食時間】
お待ちかねの試食時間。ライ麦パン、ナチュラルブレッド、シュトレーン、シフォンケーキ、食パンと様々なパンをパクパクと試食しました。シリアル20%を含有したナチュラルブレッドは血糖値が上がり難いパンだそうです。皆真剣に味わっている姿が印象的でした。「ホカホカの焼きたてでなくとも美味しいのは、余分な添加剤が入ってないから」を、身体で理解できました。
パン屋さんの遊園地として、毎日来る人に毎日新しいモノを目標に、人の顔が見えるパン屋さんを目指されている澤田さん。誰かと分け合える幸せのパンをこれからも作り続けて欲しいなと感じた授業でした。
レポート:「大ナゴヤ大学」白倉幸治
写真:「大ナゴヤ大学」中上敦幾