小麦な生活

ご当地パンマップ

※「第二回 日本全国ご当地パン祭り」に出展されたパンを中心に編集部で情報収集し、 日本地図にご当地パンをちりばめました。またご当地パンをより深く理解していただくため、プチヒストリーもつけました。
※なお、パン製品は商品開発の回転が早く、すでに販売を終了している場合もあります。 「第二回 日本全国ご当地パン祭り」に出展されたパンの中にはイベント終了後、 商品を改良したり、生産を中止したものもあります。どうぞご了承ください。


●都道府県一人あたりのパン消費額(円)の偏差値

データ:総務省「平成22年 家計調査」(2人以上の世帯)

北海道・東北

●北海道
明治10 年にアメリカ式農法による開拓方針が立てられ、洋風のパンや乳肉を取り入れた食生活を推進。 米が不足していた当地では明治中期から代替食としてパンが食べられ、「馬鈴薯パン」「豆パン」「ようかんパン」などのパンも生まれた。 「月寒んぱん」は兵士の栄養源にもなった。現存する老舗のNo.1は、病院や学校給食のパンを作ってきた昭和3年創業の小樽製パン。 昭和5年創業の「ロバパン」はビタミン添加により健康を訴求したパンだった。 第二次世界大戦前に郷土食パンの工場が各地に作られたが、戦争でその計画は中断してしまった。

●東北
明治期には教会やミッション系・官立教育機関、陸軍の師団等からパン食が広がった。 お菓子屋さんを出自とする店が多く見られ、甘いパンが多い。東北のパン屋さんの草分け宮城県の「伊藤製菓」は明治19年創業、 青森県の「岡田製パン」は同30年、福島県の「木村屋」は同33年。 戦後の食を支えたパン、高校の購買部で販売されていたコッペパンの中にペーストを挟んだパンなどは今でも人気が高い。

  • 1961年の発売以来地元で愛されている超ロングセラーのソフトなパン。

  • 軽米町産のきび、あわ、ひえが入った雑穀あんこを包んだもっちりしたパン。

  • 豆の甘さとマーガリンの塩味のハーモニーが大人気のロングセラー。

  • パンもカステラも自家製。懐かしくてやさしい味のふんわりしたパン。

  • 仙台みそをふんだんに使用したみそ風味の柔らかいぱん。

  • 特産の桃を使用したあんを包み、ほんのりピンクに焼き上げたパン。

北陸・中部

●新潟
明治元年に新潟港が開港。居留地のイタリア料理店でパンが焼かれた。

●金沢
当時北陸最大のパン屋石川屋が明治38 年開業。女学校でもパンが用いられた。

●福井・長野
織物で外国と交渉があり、早くからパン食文化が入った。

  • 生クリームとあんの美味しい組み合わせ。冷やしておいしいあんぱん

  • 昆布の旨みが”ギュツ”と詰まった昆布パン。

  • 薄紅色の生地で特産の桃の芳醇な香りのする「桃あん」を包んだ大学生考案のパン。

  • 国産小麦のパンに山梨のスモモのピューレとバターを塗ったラスク。

関東

●神奈川安政9年横浜港が開港。江戸末期には直焼きのフランスパン、明治初頭に直焼きのイギリスパンが上陸。 異人ベーカリーが日本の企業開発に先便。今でも神奈川県は特に横浜、鎌倉など湘南地域で地元密着型のパン屋さんが人気。 戦後、アメリカから援助された小麦粉と脱脂粉乳を使用して、 学校給食用のコッペパンが始めて作られたのは神奈川県内の工場だった。

●東京
三大菓子パン発祥地。木村屋總本店の酒種「あんパン」(明治7 年)が同店のノレン分けと共に全国に広がる。 日露戦争頃、ジャム入りビスケットをパンに応用し「ジャムパン」(明治33 年頃)を発売。 中村屋がシュークリームを元に「クリームパン」(明治37)発売。 文明開花の欧化風潮により、銀座から全国に菓子パンが広がる。 ※関東では全般的に、お菓子屋さんを出自とするパン屋さんが多く見られ、菓子パンを作っている店が多くある。

●茨城
関東大震災、第二次世界大戦の後の食糧難時代にパン屋が増えた。 昭和13 年に馬鈴薯を小麦粉に混入する代替食を研究。

●群馬
太田市の新田製パンの星野氏は大正8年の米騒動を機に町営パン工場を設立しドイツ式機械を導入。 前橋市のフランスパン社がフランスパンの店を昭和3年に開店。先達の流れを汲み、当地にはフランスパン系のご当地パンも多い。

●埼玉
明治11 年に行田市の大和屋が開業、東京からパン職人が数多く流入し、パン屋さんがたくさんできた。

●栃木
千葉:戦後に学校給食パンをつくるパン屋さんがたくさん創業した。

  • ねりまだいこんから採った酵母を使用した食パン。

  • 小松菜発祥の地に因み、小松菜を練りこんだパンに丹波の黒豆をちりばめた自慢の逸品。

  • 契約農場で栽培した小豆で作ったあんを使用したクルミたっぷりのパン。

  • 小松菜パウダーを生地・クリームに使ったカルシウム入りパン。

  • こしあんに珈琲を加えフレッシュクリームを詰めた、冷やしておいしいあんぱん。

  • バターロール生地に大きめの肉シューマイを丸ごと1 個包んだパン。

  • 国産小麦とサルタナレーズンとカレンズレーズンをふんだんに使ったパン。

  • 農家とパン屋のコラボで作ったあんパン。学校給食にも使用。

  • 日本で初めてカレーのレシピを紹介した村井弦斎に因んだカレーパン。

  • 丹沢山系の山の形を象ったポケットにも収まるあんたっぷりのパン。

  • アーモンドケーキをクロワッサンで包み、クッキーと砕いたアーモンドをトッピング。

  • 北海道産70%、北関東産15%千葉県産15%の国産小麦パン。

  • 北海道産70%、北関東産15%千葉県産15%の国産小麦パン。

  • イチゴジャムとカステラをサンドし、天板1 枚で焼き上げたパン。

  • マーガリンとあんこをトッピングした、一番人気の大正ロマンのパン。

  • 群馬県富岡産シルクパウダー使用の冷やしておいしいもっちり柔らかなパン。

  • みそ饅頭をヒントに作られた沼田名物。トーストすると香ばしい。

  • 胡麻風味豊かな甘じょっぱいみそペーストを挟んだコッペパン。

東海

東海地域には幕末の開港場がなく、 直接西洋文化に接する機会には恵まれなかったが、横浜と神戸の両方の影響を受けてパン食文化も広がっていった。 昭和前期になると名古屋は大阪と並ぶ近代的製パン工業地帯として高く評価された。

  • シンプルだけど奥深いほんのりハチミツたっぷりくるみのもちもちベーグル

  • 揚げた徳田ねぎ使用。郡上のえごま味噌の生地を包んだパン。※1・2月期間限定

  • 三島馬鈴薯でつくった「みしまコロッケ」をくるんだパン。

  • 生地とあんこに静岡産のお茶の粉末を練りこんだあんぱん。

  • キリンの首のように長いパン。チョコとパピロクリームの2種類。

関西

●神戸
明治維新で神戸が開港。異人ベーカリーが栄え、 パン文化が近畿、中国、四国地方へと広がった。大正7年の米騒動を期に朝食に食パンが一般に食べられるようになる。 関東大震災の際、横浜からパン職人を含む外国人が移住し 、パン文化がさらに発展した。

●大阪
堀江出身の水谷政次郎氏が明治38 年に「マルキ号製パン」を開業。 大火事の被災地にパンを提供し、米騒動に際しても値上げせずにがんばる同店は大評判になる。 昭和初期に初の国産イーストを導入し、近代的アメリカ式工場を建設。それ以降、近代的な機械化製パンが盛んに行われるようになった。研究団体も設立し、パン食普及のPR を全国で大々的に展開した。

●京都
昭和30 年代に京都を拠点とする四輪の馬車をひく「ロバのパン屋」が全国展開。 現在、今出川通は欧風のパン屋さんなどが立ち並び激戦区になっている。

  • 牛筋を甘辛く煮た神戸長田の名物「ぼっかけ」を、フライのパンに詰めこんだパン。

  • どろソースを入れた自家製ポークカレーをつめたパン。地元企業のコラボ。

  • 淡路島産玉ねぎを使用したジューシーなミンチカツパン。

  • バラの花をイメージした形・ボリューム・値頃感を満たした自慢のロングセラー。

  • 三田産牛とこんにゃく・野菜で作ったすき焼きを包んで焼いたパン。

  • 大阪産卵を使用している「大阪もん」のパン。『大阪ミュージアム構想』に参加。

  • ラグビーの街の、ラグビーボールの形をしたカレーパン。甘めの牛スジ入り。

  • こしあんを織り込んだ生地に北尾の黒豆をたっぷり包み込んだ贅沢な逸品。

  • 琵琶湖固有種“ビワマス” と滋賀県産小麦微細全粒粉で作った滋賀ならではのパン。

  • マヨネーズで和えた刻みたくあんのペーストをコッペパンに挟んだ惣菜パン。

四国

四国でパンの存在が知られるようになったのは教会やミッションスクールが誕生した明治10年代。 周辺に大型都市がなかったため大型工場は誕生せず、パンは学校給食が中心だった。

●香川
善通寺で明治30 年陸軍師団御用達であんパン製造開始。「堅パン」は軍用パンの名残り。数軒の老舗が今も続く。

●愛媛
明治43 年ロサンゼルスから帰国した小川氏が開業。第二次世界大戦後にも多くのパン屋さんが開業した。

●高知
明治28年門田製パン所創業(四国一の老舗)。

●徳島
大正2年に宮本商店開業。老舗が多い。

  • 県産「さぬきの夢2000」を配合、小豆島のオリーブのと金時豆を混ぜこんだパン。

  • 粉チーズをまぶして焼き上げたチーズ入りボール状パン。創業当時からの看板商品。

  • 特区でつくられたどぶろくを生地に入れたふんわりした食感、ほのかな甘み。

  • 愛媛県産のみかん果汁と白あんをブレンドしたみかんあんのパン。

  • 老若男女に愛されている高知県ではあんパン、メロンパンと同格の定番パン。

中国・九州

●中国地方
明治15年高粱教会、同16年広島教会、同19年広島女学院、同20年岡山孤児院が開設され、 パン食文化が入ってきた。その後は岡山・広島の師団、 アメリカからの帰国者などがパン食の普及に貢献した。

●九州地方
安政6年に開港された長崎の外人居留地を核として、西洋文化導入に 積極的な鹿児島・佐賀・熊本からもパン文化が広まった。 明治22年佐世保が海軍基地となり軍御用達のパンも製造された。 佐世保にアメリカ文化「ハンバーガー」が伝わったのは昭和25年だといわれている。

  • 「広島県のパン屋を元気に」と活動中のひろしまパン倶楽部のオリジナルパン。

  • 九州で栽培が盛んな高菜と辛子明太を詰めたスター型のパン。

  • 老舗のめんたい、卵、バターをぬって焼いた国産小麦のラスク。

  • 佐世保バーガーはオーダーを受けてから 調理する、多彩な手作りハンバーガーの総称。

  • 50年以上に渡って高校の販売部で販売されているメロンパン。

  • 地元のそら豆の餡を鹿児島産小麦粉で包んだパン。