セントラル製粉株式会社
原口工場長
愛知県は生産量全国5位の小麦栽培地域であり、さらに近年、愛知県独自の小麦品種の開発が進んでいます。いま盛り上がりを見せる愛知和麦シーンには、どのような動きがあるのでしょうか。愛知県の製粉会社「セントラル製粉」工場長・原口さんは、教室の生徒さんたちに尋ねます。
『みなさん、愛知県で生まれ、愛知県で育った「きぬあかり」という愛知和麦をご存知ですか?愛知県農業総合試験場というところで開発されたうどん麺用の小麦で、2013年から市場に出回るようになりました。実は、日本で食べられているうどんはオーストラリアの小麦が多く使われていて、国産小麦の自給率は60%程度に止まっているんです。しかし近年、国内で採れる小麦を挽いた“地粉”に注目が集まっていて、全国各地でも“地粉”を使用したうどんを作る動きが広がっています。もちろん「きしめん」や「味噌煮込みうどん」など、独自のコムギ食文化を持つ愛知県も負けていられません。こうした動きの中で開発されたのが「きぬあかり」でした。』「きぬあかり」は最先端の農業技術であるDNAマーカー選抜(DNA鑑定の技術)を使って育種開発された、全国で初めての和麦なのだそう。
『今回お使いいただく「ゆめあかり」は「きぬあかり」に続く愛知県独自開発の愛知和麦で、「ゆめあかり」もこの技術を使って開発されました。愛知県では現在、県内で生産する小麦をすべて愛知県で開発した和麦で統一していこうという動きがあります。そこで、パン・中華麺用として開発された強力小麦の品種が「ゆめあかり」です。』「ゆめあかり」は開発されたばかりの愛知和麦で、まだ市場に出回っていないそうです。
『「ゆめあかり」を愛知の子どもたちに食べて欲しいという思いもあり、一般のパン屋さんだけでなく学校給食での使用も考えています。国産小麦だから食べてほしい、というだけではないんです。外国産の小麦もあって、国産の小麦もある、そこに地域の小麦もある。地域の小麦だということを知ることで、地域と食がどのようにつながっているかに興味を持つようになってくれたら理想的だと思います。
「名古屋メシ」という言葉があるほど愛知は食に対するこだわりが深いですしね。愛知和麦を通じて地元のコムギ食文化に触れてもらうきかっけに。そんな思いを持って「ゆめあかり」をお届けしていく予定です。』
セントラル製粉株式会社HP http://www.central-mills.co.jp/
和麦名 | ゆめあかり |
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成 分 | タンパク:10.6% 灰 分 :0.42% |
粉分類 | 強力粉 |
特徴・向く料理 | ・東海地方で初めて開発された、パン・中華麺用小麦品種です。 ・よく膨らんで少し黄色味がかった色合いを示すため、 ロールパンや菓子パンにも向いています。 ・黄色味を帯びて、適度な硬さの良質な中華麺ができます。 |
愛知和麦アンバサダー
磯部作喜子 先生
レッスンメニューを決める際はまず食器選びから始めるという、愛知和麦アンバサダーの磯部作喜子先生。パンやお菓子だけでなくテーブルコーディネートを含む幅広い本格的メニューが学べる、“食卓のおもてなし教室”として人気です。今回はクリスマス直前!ということで、前菜から始まりメイン料理、デザートまで続くフルコース料理の中に、愛知和麦「きぬあかり」料理が登場しました。
『今日はコムギ感を感じるお料理を考えてこのメニューを考えてみました。カネロニって、ご存知ですか?イタリアで食べられている筒状の大形パスタです。このパスタの中にひき肉などで作った具などを詰めて、ソースをかけてオーブンで焼く料理のこともカネロニと呼びます。今日はパスタをクレープにかえてつくりましょう。』 ここでセントラル製粉・原口さんからアドバイスが入ります。『強力粉の特性上、焼きあがると少し縮んでしまうかもしれません。そんな場合は、生地を練る時間を少なくするとグルテンの形成が抑えられるのでいいと思います。』なるほど~、とうなずく生徒さんたちの姿。
『計量がめんどうという方の声を多く聞きますが、レシピ分量の強力粉・ドライイースト・塩を『今日は強力粉である「ゆめあかり」と中力粉の「きぬあかり」、2つの愛知和麦で生地を焼きくらべてみましょう。さ、焼いてみて。』生徒さんたちによって2種のクレープが焼き上げられていき、その場で試食タイムに。『焼き目のつき方も違うんですね~。』『食感とか、微妙に違うかも。』愛知和麦くらべを体験したところでお料理の仕上げに入ります。
『カネロニはクレープグラタンのイメージですね。こう、くるくるっとクレープで具材を巻いて、オーブン皿へ入れてソースをかけて。ね、簡単でしょ?だけど華やかな大皿料理なので、パーティー料理にぴったりなんですよ。』
フルコースの中にひときわ目をひく大皿料理のオーブン焼き、さあみなさんでいただきます。『クレープ生地が、とってもモッチモチ!』『料理行程は簡単だけど、クレープ風に巻くアイデアが、ひと手間かかっている感じ。』『間違いないおいしい味ですし、家でもつくりたいメニューですね~』 『今回は冬メニューとしてグラタンにしてみましたが、クレープを手巻き寿司のようにいただいても楽しいですよね。サーモンやチーズなど、さまざまな具材を用意して。パーティーに栄える一品として、みなさんもぜひご家庭でトライしてみてくださいね。』
日本の小麦事情についてレクチャーを受けたのは初めてで、「きぬあかり」「ゆめあかり」という名前があることも知らなかったから!レッスンを受けられてラッキーです☆
家では2種類の小麦を買って食べくらべるということがないので、貴重な経験でした。ちょっとした食感の違いや水の混ざり方の違いなど、感じることができてよかったです。
今まで小麦粉を特に意識したことがなかったけど、いろいろなお料理に使われていると気づきました。種類によって向いているお料理が違うということにも驚きました!
日本人なので、和麦の小麦粉を使ってお料理したいと思いました。
カネロニ風クレープのオーブン焼き
○ゆめあかり・・・・・・・・100g
○牛乳・・・・・・・・・・・200ml
○卵・・・・・・・・・・・・1個
○塩・・・・・・・・・・・・2g
○合いびきミンチ・・・・・・100g
○玉ねぎ(みじん切り)・・・1/4個
○ホワイトソース(缶詰)・・大さじ5
○牛乳・・・・・・・・・・・50ml
○しめじ・・・・・・・・・・15g
○トマトソース・・・・・・・大さじ5
○とろけるチーズ・・・・・・大さじ3
調理時間約30分/2人前
ボウルにふるった小麦、牛乳、卵、塩を入れ泡だて器で粘りがでないように混ぜる。
フライパンにオリーブオイル大さじ1(分量外)をしき、クレープのように薄く焼く。4枚作る。
フライパンにオリーブオイルオイル大さじ1(分量外)をしき、玉ねぎ、合いびきミンチ、しめじを炒める。
ホワイトソースと牛乳を入れ塩・コショウ(分量外)で味を整える。
2のクレープに3の具をのせて巻く。グラタン皿に4枚並べる。
トマトソースとチーズをかけて180度のオーブンで10分焼く。バジルなどを飾っても良い。