小樽が舞台のパン漫画『聖樹のパン』は、パン業界の有名シェフたちが協力しており、パン作りの豆情報や知識が豊富に詰め込まれています。今回のリレーレッスンでは、監修を手掛けたシェフたちが講師となり、シェフのパン作りテクニックを伝授してくれます。

「DAPAS」坂井シェフ

profile

1981年生まれ。薬剤師在職中に「治療」から「未病治」に興味が強く移り、29歳のときに食の業界に転職。ヨーロッパ旅行を重ねて10か国を回る。
アルザス、ブリュッセルなどでパン職人と出会い、食やパン作りに対する考え方をヒアリングし、感銘を受ける。

http://www.asahikawa-jibasan.com/food/

坂井シェフが腕をふるう「DAPAS」は北海道旭川の「道の駅あさひかわ」内にお店を構えています。坂井シェフにはこのレッスンのためにはるばる東京へお越しいただきました!

『「DAPAS」では小麦粉はもちろんのこと、できる限り北海道産の食材を使ってパンを焼いています。今日のレッスンでも北海道産食材のよさを体験していただけるよう、北海道から食材を持ってきました。』レッスンの中では、キッシュやカンパーニュに練りこむ具材、バターなど、北海道食材にかける坂井シェフの思いをお話しいただきました。

レッスンは、まずキッシュの生地づくりから。『北海道の食材を詰め込んだキッシュは『聖樹のパン』でも監修しています。ヨーロッパへ修行しに行ったときに、キッシュ作りもパン屋さんの仕事なんだなと実感したんです。ヨーロッパの大体のパン屋さんには一食がまかなえるものがそろっているんですね。食事パンがあり、ちょっとした総菜やサラダが置いてたるデリカテッセン的な役割、お菓子まで。そういった意味でキッシュは小麦料理と惣菜を複合する象徴的なメニューだと思います。今回は特に、地元・北海道の食材を味わってほしくて、レッスンメニューに取り入れました。』キッシュの土台は北海道産和麦3種類をシェフがブレンドしたもので焼き上げるのだそうです。『ポイントは、グルテンの形成をおさえるために生地をこねすぎないこと。』そうすることで、パイ生地のサクサク感がアップするとのこと。

続いてスペキュロスづくりへ。『スペキュロスはシナモンが効いた香り高いベルギーの伝統菓子で、パン屋さんが昔から焼き続けてきました。近年では工場での生産に押されてやめてしまっているパン屋さんが多いのですが、私がベルギーにいたときに通っていたパン屋さんは毎日焼いていました。毎日きっちりと同じものを焼き続けることに、これが職人の姿勢なのかと心を打たれたんです。この気持ちを忘れないようにと、私も毎日スペキュロスを焼いています。』さらに、その土地のもので作ることの重要性を教わった坂井シェフは、ミルク感が濃いベルギーの牛乳に近づけるよう、あっさりとした美瑛産のジャージー牛乳を「焦がしバター」にしてコクを出しています。

そして『聖樹のパン』第4話に登場する、ライ麦入りのパン・ド・カンパーニュづくりへ。こちらも北海道産和麦を坂井シェフご自身でブレンド、そして美瑛産の細挽きライ麦を使用します。『かみしめるほどに粉の旨みが広がる、そんなカンパーニュをイメージし、ライ麦の香りがダイレクトに味わえるよう焼き上げています。パンに加える酵母の量は季節ごと、水温や気候風土によって調整しますね。カンパーニュもうそうですが、「DAPAS」のパン生地は大体が手ごねです。オーバーミキシングにならないよう調整しやすいですし、食感が劣化しにくくボリュームが出るパンが焼きあがりますよ。』

レッスン参加者の声

  • ふだんはフレンチの料理人をしています。パンの基本情報から製パンに関する細やかな描写まで、パンの知識が詰め込まれた『聖樹のパン』に感銘を受けて今回のセミナーに参加しました。これは絶対に行きたい!と強く思っていたので、仕事の休暇をとって来ました。作品の中に出てくるパンが再現されるというめったにない体験、そしてシェフから直接パンに対する思いも聞けて感無量です。

  • 妻:今日は夫の祖国ベルギーの伝統菓子であるスペキュロス作りができるということで、2人で参加しに来ました。ふだんからスペキュロスは我が家の常備お菓子で、よく食べているんです。

    夫:スペキュロスはベルギーでかなり日常的に食べられているお菓子なんですが、自分で作ったのは初めてです!パンは時々妻と一緒に作りますが、パン屋さん巡りの方にもよく行きます。お気に入りのお店が見つかった時はついつい買いすぎてしまいます(笑)

  • 坂井シェフとは何時間にもわたる電話取材でパン作りのお話を聞かせていただいていたので、今回パン作りのレッスンを受けられたのはとてもうれしかったですね!そして、むずかしい(笑)同じ生地を扱っているはずなのに、坂井シェフの生地は鮮やかにできあがる。まるでパン生地が生きもののように見えてきました。坂井シェフは素材が持つ背景やストーリーを大切にしながら素敵なパンを作る方だから、パン生地も素直にシェフになつくんでしょうか(笑)