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和麦ストーリー 
新潟和麦「ゆきちから」篇

米どころ・新潟が挑む。全国的にも前例がない砂丘地のコムギ栽培で、耕作放棄地の救出へ。

丸栄製粉株式会社
大谷 勝男さん

新潟というと“お米どころ”のイメージが強く、「えっ、和麦が育てられているの?!」と思われる方も多いのではないでしょうか。実はいま新潟では全国的にも例がない“砂丘地の耕作放棄問題”へアプローチする画期的な和麦の育成研究が、先進的な農業技術を取り入れながら行われています。製粉会社でありながらも和麦の栽培事業に取り組む農業法人【マルエイファーム】を運営する「丸栄製粉株式会社」大谷さんにお話をお聴きしました。

『はじまりは2010年、1人の農家さんが丸栄製粉におよそ15年ぶりに目にする新潟和麦を持ち込んできたことでした。新潟でもうどん用の和麦品種「ユキチャボ」が栽培されていましたが、1993年に全国を襲った冷夏を境に途絶えてしまったんです。以来、新潟和麦にお目にかかることはありませんでしたが、パン・ピザづくりが趣味の農家さんが自分の原料でつくってみたいから植えてみた、そうしたら思いのほかうまく栽培できた、それが現在パン用品種の新潟和麦として育成されている「ゆきちから」です。』

丸栄製粉が1トンの買い取りから始まった新潟和麦「ゆきちから」の話題は次第に広がり、興味を示した農家さんなどが集まりだしていきます。その輪は新潟和麦に興味を示した醤油屋さん、パン屋さん、ラーメン屋さんや、組合など学校給食会、小麦を利用される店舗、そして農家さんを指導してくれる農研機構や新潟市の農業地域活性化、県の地域振興局などの行政も巻き込んで広がり、【新潟小麦の会】が結成されることになりました。

『いまの新潟の気候や風土にあった、よりよい新潟和麦を追究していくには、とにかくどんどん育てていくしかないと。地域の和麦を挽く「丸栄製粉」は新潟和麦に真剣に向き合うべく、農業法人【マルエイファーム】を立ち上げました。私も製粉業と同時に、和麦の育成にも力を注いでいます。』丸栄製粉に持ち込まれた1トンの「ゆきちから」は、2018年現在で140トンにまで拡大しました。新潟和麦の育成に取り組む中で、さらにこの地域が抱える耕作放棄の問題、それも“砂丘の耕作放棄”という課題が見えてきます。

『全国的にも農家さんの継承不足に由来する耕作放棄地が課題となっていますが、砂丘の畑地は特に条件が悪い土地として耕作放棄地になりすいんです。北陸の日本海エリアは特にそうした砂丘地が多く、新潟もこの課題を抱えていました。今までは砂丘地ではタバコやサツマイモ、スイカを作っていたんですが、手がかかるそれらの作物は1ヘクタール作るだけで農家さんの労力が費やされてしまうんです。ところが、農作業効率がよく大規模な土地で育成でき、しかも湿気を苦手とするコムギの特性がピッタリはまりました。全国的にも前例がない農業研究として農林水産省の「イノベーション創出強化研究推進事業」の予算がつき、日本海側砂丘地気候における高品質コムギの安定・省力生産技術の開発に向けて最先端の農業技術であるICTを活用した研究が現在進められています。』
地域和麦への需要に応えるだけでなく、日本全国に存在する砂丘地耕作放棄地の課題解決のヒントになる画期的なイノベーション開発事業として、新潟和麦のさらなる育成はいま、全国からの注目が高まっています。

丸栄製粉が経営するパン屋「石窯焼きパン工房 麦の詩」では、新潟和麦「ゆきちから」で焼き上げたパンが購入できます。
https://www.muginouta.jp/

新潟和麦の基本情報

和麦名 ゆきちから
成 分 タンパク:11.0 ± 1.0%
灰 分 :0.55 ± 0.1%
粉分類 強力粉
特徴・向く料理 新潟県産ゆきちから100%の小麦粉です。パン用、中華麺用に向いています。

新潟和麦cookingレポート

新潟和麦 meets カボチャのニョッキ

カボチャのニョッキ

新潟和麦アンバサダー
野股 正宏先生

「日本全国!和麦cooking教室リレー」では初の男性の和麦アンバサダー、「ヒロクッキングスタジオ」野股先生による新潟和麦レッスンです。全国47都道府県すべてに足を運んで各地における名物や郷土料理を研究し、さらに海外29ヶ国・地域を旅行して各国の料理を食べくらべるという探究熱心さ。美しい料理の盛りつけにもこだわる野股先生の教室には長年にわたり通い続けている生徒さんが多く、みなさん仲よく女子会のようなにぎやかさでレッスンを楽しんでいらっしゃいました。

Points of 新潟和麦レッスン

『今日は新潟和麦「ゆきちから」で「カボチャのニョッキ」と「ファーブルトン」をつくります。「ゆきちから」は国内で育成される和麦としては珍しい強力品種で、パンや中華麺などをつくるのに向いています。地元・新潟県民でも、新潟で和麦が採れるってちょっと意外でしょ?どんな和麦なのか、早速さわっていきましょう!』

『ニョッキというと普通じゃがいもとコムギをこねてつくりますが、今日はカボチャを使いたいと思います。
材料はカボチャと「ゆきちから」と塩、基本これだけです。カボチャはレンジにかけてやわらかくして皮をむき、グッ、グッ、と力を込めてしっかりつぶしましょう。つぶしたカボチャに塩と「ゆきちから」を入れてこねていきます。ここで“しっかり”こねるのが大事なポイントです!しっかりこねることでモチモチ感が出ておいしいのと、コネが甘いと場合によっては茹でてる時に煮崩れることがあるんですよ。使うカボチャの状態によって水分のバランスが変わってくるので、まとまりにくい場合は水を足し、逆にやわらかい場合は「ゆきちから」を足して調整してください。目安としては耳たぶ程度の硬さですね。』

『ニョッキを成形していく際に、くっつくようなら打ち粉をふってくださいね。大きいと火が通りにくいので気をつけてくださいね。大きさはそろえるよう意識してください、茹で上がりの時間が違ってきますので。』自分の生地を成形する生徒さんたち、それぞれ人によって形が違うようです。『先生の成形を真似てやっているつもりなのに、同じような形にならない~』『チキンナゲットみたいになっちゃった(笑)』『確かに大きいかも!』同じ料理の中でもつくる人の個性が出る、和麦クッキングの特性を楽しんでいます。『ニョッキはどちらかというと俵型というよりは小判型なイメージで。成形したニョッキは茹でていきましょう』

『次は「ファーブルトン」のレッスンです。聞きなれない人も多いと思いますが、フランスはブルターニュ地方の伝統的な焼き菓子です。「ファー」が「牛乳のお粥」を指すらしいんですね、そして「ブルトン」が「ブルターニュの、ブルターニュ風」という意味だそうで。モッチリとしっかりとした食感が特徴的な、シンプルで素朴なスイーツなんですよ。つくりかたですが、ほんっとに簡単で、ボウルの中に材料を入れて混ぜていき、型に入れて焼くだけ。「ゆきちから」もふるわなくていいんです。』

新潟和麦、いただきます!

『さて、いただきましょう!ニョッキは私オリジナルレシピの特製ソースと絡めて仕上げています。』『ニョッキのモチモチ感、すごい!』『大きさが違うと食感も違うね~(笑)』『カボチャの黄色がきれいに出ていて、華やかな料理に見える♪』まずはニョッキから味わい、次はファーブルトンへ。『「ファーブルトン」は薄力粉を使う場合が多いんですけど、強力粉を使うとよりモッチリ感が出ます。今日の食感を覚えておいて、家でつくりくらべてみてもおもしろいと思います。いろいろ研究してみてくださいね!』

レッスン参加者の声

  • 和麦はちょっと馴染みがなかったのですが、新潟でもコムギを作っていると知ってビックリ!国産の食材を選んで買うことが多いので、今後はゆきちからにも注目して買い物をしたいと思います。

  • 和麦を使って料理をしたのは初めてでしたが、モッチモチのかぼちゃのニョッキ、簡単に作ることができたファーブルトンのどちらも食感がよくおいしく食べることができました♪

  • 安心して食べられる「和麦」は、身近なところで購入できたらうれしいです。まだまだバリエーションが広がりそう。

  • カボチャの水分の違いで生地の固さを調整するのに少し苦労しましたが、和麦を使って生地から作っていくのはワイワイ楽しかったです。強力粉はパン?と思っていましたが色々な料理に使えるんですね。

新潟和麦を使ったレシピ

カボチャのニョッキ

◦ カボチャ・・・400g
◦ 強力粉(ゆきちから)・・・120g
◦ 塩・・・小さじ1/4
◦ ニンジン・・・100g
◦ タマネギ・・・100g
◦ バター・・・20g
◦ 水・・・150㏄
◦ コンソメの素・・・小さじ2
◦ 生クリーム・・・100㏄
◦ 好みのトッピング・・・適量 (刻みパセリ、粉チーズ、粗挽黒コショウなど)

調理時間30分

  • 1

    カボチャは皮をむいて電子レンジで柔らかくし、ポテトマッシャーなどでしっかりと潰す。

  • 2

    強力粉(ゆきちから)と塩を混ぜてしっかりとこね、小さく丸めてニョッキの形にする。

  • 3

    ニンジンとタマネギは薄くスライスし、バターで炒める。火が通ったら水とコンソメの素を入れ、ふたをし10分以上煮る。

  • 4

    3をミキサーにしっかりとかけてペースト状にし、さらに生クリームも加えて軽く回す。

  • 5

    2を熱湯から茹で、浮いてからさらに2∼3分茹でる。湯切りし4と合わせて軽く火を入れ、器に盛り、好みのトッピングをする。

レシピポイント

2の作業で、生地が粉っぽくまとまりにくい場合は水を足し、逆に柔らかい場合は強力粉(ゆきちから)を足して調整してください(固さの目安は耳たぶ程度)。

潰したカボチャと強力粉(ゆきちから)をしっかりとこねることで、もちもちの食感となり、長く加熱しても煮崩れしにくくなります。

3の作業で、ニンジンとタマネギを薄く切って長く煮る(10分以上)ことによって繊維が柔らかくなり、滑らかな舌触りとなります。