TOP > 小麦にまつわるよもやま話 | Vol.5

お店に並ぶ小麦粉の種類が増えている

小麦粉をお店で買う時、みなさんはどうやって小麦粉を選んでいらっしゃいますか?
ちょっと前まではスーパーに行くと、「薄力粉」と、「強力粉」ぐらいしか売っていませんでした。
「フラワー」と名前がついているのは薄力粉かな?このパッケージの色は強力粉かな?と何となく選んでいたのが、 最近ではいろいろな種類のいろいろな名前の小麦粉がお店に並んでいて、さてどれを選んだものか困ってしまいます。

製粉会社では、大きくわけて業務用と家庭用の小麦粉をつくっています。

業務用は25Kg、または12.5Kgの大きな袋に入っています。
バルク輸送といってタンクローリーのような車で小麦粉を運んだりもします。

みなさんがお使いになるのはお料理やお菓子・パンづくりに使う家庭用の小麦粉ですので、
今日は、スーパーや食料品店などのお店に並んでいる
「家庭用小麦」の名前について書いてみたいと思います。

たんぱく質含有量で決まる小麦粉の用途

小麦粉は、たんぱく質の含まれる量で用途が大体決まってきます。
「薄力」「中力」「準強力」「強力」というのは、小麦粉に含まれるタンパク質の量の多い、少ないを示しています。
「力」がついているのはグルテンのねばりの強さを表しています。タンパク質は水を加えて練るとグルテンに変化します。
グルテンにはねばりがあり、この「ねばり力」が強いと麺やパンに適していて、少なければお菓子や調理用に向くというように、用途が分かれるのです。
ですから、まずパッケージをみたら、お菓子用・うどん用・・・といった用途とともに、「薄力」「中力」「準強力」「強力」の文字を探して、つくりたいものにピッタリあった小麦粉を選びましょう。

強力粉 食パン用(強いグルテンの力が必要)
準強力粉 中華めん、フランスパン用
中力粉 日本めん用、和菓子
薄力粉 菓子や調理用(グルテンが少なさとソフトさが必要)
セモリナ スパゲティやマカロニなどのパスタ用。

「薄力粉」 はグルテンになるたんぱく質の含有量が少ないだけでなく、組織が柔らかでふんわりとしたお菓子をつくるのにより適しています。

「強力粉」 はグルテンになるたんぱく質がたくさん含まれているので、弾力のあるパンができます。

「中力粉」 はうどんなどの日本のめん料理やすいとんなどを作る時によく使われます。 中力粉はたんぱく質量がちょうど中間なので汎用性が高く、お菓子もパンもつくることができます。このため「万能小麦粉」のように汎用性をうたっている小麦粉は大体中力粉です。 「中力粉」には良質なでんぷんが多く含まれる国産小麦が使われる事が多いので、しっとりしたものができますが、 ふんわり柔らかいスポンジケーキは「薄力粉」、ふくらみがよい弾力のあるパンは「強力粉」を使わないと作れません。

「デュラム・セモリナ」 がお店に並んでいることは少ないと思いますが、「セモリナ」というのは小麦の種類ではなくて形状のことで、 「デュラム」というパスタに向いた小麦を 粗挽きにした粒のことです。 「デュラム」はたんぱく質含有量が小麦の中で最も高く、色が黄色い小麦の品種ですが、高たんぱくであるだけでなく、 組織が硬質で半透明のガラスの様に透き通っているのでパスタを作るのに向いているのです。

増えている「単一品種」粉

近年、国産小麦からつくられるパン用小麦粉がお店に並ぶようになって、お米の「コシヒカリ」「あきたこまち」という品種と同じように 小麦の「春よ恋」「キタノカオリ」といった品種名もだんだん浸透してきました。
自家製麺をするうどん屋さんのメニューや麺商品のパッケージにも「きたほなみ」(北海道産の麺用中力粉)を使用などとと書かれるようになってきました。

ここで使われている小麦粉はある品種のみでつくられたものですが、従来の小麦粉製品はほとんどが「ブレンド粉」(今でもほぼそうですが)で、複数の小麦粉をブレンドしたものでした。 なぜブレンドをするかというと、小麦粉の品質が均質で安定していないと工場で製品をつくりにくいため、一定の基準に合わせていろいろな小麦粉をブレンドすることが必要だからです。 小麦は農産物ですので年によって作柄が違って成分が違いますし、気温や湿度によっても小麦粉の状態は変わってきます。
また、コーヒーの「ブレンド」と同じように、独自の味わいのある小麦粉をつくるために、コシの強さ、色あい、のどごし、香り・・など特徴の異なる小麦をブレンドして、 お客さまのニーズに応えて小麦のカスタマイズが行われています。こういった微妙なブレンド技術は製粉会社の「匠の技」で、その日本の水準は世界的にみても最高レベル。
だから、日本の小麦粉製品は品質がよくおいしいのです。

このように、少し前までは小麦粉といえば「ブレンド粉」だったのですが、地産地消の一環として地域の特色のある小麦が栽培されるようになったり、 自分でパンを焼く人や、自家製麺をするうどん屋さんが増えてきて、状況が変わってきました。
小麦品種や栽培地域によって風味や食感の違いがあることに気づく人が増え、 単一の品種の小麦粉がほしいというニーズが生まれ、 単一品種からつくられる小麦粉が商品化されるようになったのです。
単一品種のみでつくられる小麦粉は外国ではほとんどつくられていません。日本ならではの、非常にユニークな小麦粉と言えるかもしれません。

主な小麦品種/銘柄

※輸入小麦は複数品種を小麦ブレンドした「銘柄」です。
強力粉
国産小麦 「春よ恋」「はるゆたか」「ゆめちから」「ゆきちから」「キタノカオリ」「ニシノカオリ」「ミナミノカオリ」「南部小麦」
輸入小麦 CW(カナダ産 カナダ・ウェスタン DNS(米国産 ダーク・ノーザン・スプリング)
中力粉
国産小麦 「きたほなみ」「さとのそら」「農林61号」「イワイノダイチ」「きぬの波」「あやひかり」「つるぴかり」「ふくさやか」「ふくほのか」
輸入小麦 「ASW」(オーストラリア産 オーストラリアン・スタンダード・ホワイト)
薄力粉
輸入小麦 「WW」(米国産 ウェスタン・ホワイト)

商品ブランド名なのか、品種名なのか

最近、パン用の小麦粉の名前がよくわからないという声を聞きます。その大きな原因のひとつは

●商品ブランド名と品種名の区別がつかない。

ことにあるようです。 最近の小麦の品種名は「春よ恋」「キタノカオリ」などかわいらしい名前が多く、商品ブランドなのか品種名なのか、見極めがむずかしいのです。 逆に、「農林61号」「W8号」など製品番号のような品種名(育成時の系統番号がそのまま品種名になったもの)の小麦もあります。

また、

●使用している小麦の品種がパッケージに書いてない。

ことも大きな原因です。 最近は小麦粉に使われている小麦品種を前面に出したネーミング(例:「春よ恋」100%など)が採用されたり、使用小麦の品種を明記している製品も増えてきていますが、 前でご説明したように、従来はブレンド粉が主流で、小麦粉には商品のブランド名がつけられていました。 ブレンド粉に混ぜる小麦の割合は企業秘密であったり、一年を通して比率が変化するため、何の小麦を使っているのか、カタログなどに掲載されていないことも少なくありません。

そこで、対策としては、

●主な品種名を覚えておく。

とよいでしょう。品種名では、「春」(春まきの意)、「カオリ」がつくものはパン用の強力小麦に多いようです。

などを参考にされるとよいでしょう。

また、実際にパンやうどん、パスタをつくる時に大きな指標になるのはたんぱく質含有量と、灰分(数字が大きいと外皮成分が多く黒いが、風味が強い)です。 たんぱく質含有量はこちらを参考にしてください。

その他

※小麦粉を選ぶときは以下も参考にしてください。
全粒粉 小麦を粒ごと挽いたもの
※なお「一本挽き」「挽きぐるみ」は、殻をむかずに玄蕎麦をまるごと石臼で挽くこと/挽いたもののことを指す「蕎麦」の製粉用語。今日では殻を除いて挽いたものもそう呼ぶことが多く、「小麦」の製粉においても慣習的に「全粒粉」の意で使われることがある。