和麦ストーリー 
群馬和麦「さとのそら」篇

星野物産株式会社
新井崇 常務取締役

群馬県は本州の中でも昔から小麦の育成がさかんな地域で、現在も国内4位の生産量(農林水産「作物統計」平成26年より)を誇っています。おっきりこみ、煮ぼうとう、幅広うどん、ひもかわうどん、焼きまんじゅうなどなど、今に伝わるコムギ食料理も実にバラエティ豊富。さらに詳しい群馬和麦事情を、群馬県の製粉会社「星野物産」常務取締役・新井さんにお聞きしました。

『群馬を中心に北関東は小麦が適地適作とされており、作付けの環境がとてもいいんですよね。小麦が苦手な雨も降りますが適量で、日照時間も長く、平野部はほとんど雪が降らない。湿度の関係で赤カビなどの病気や害虫が発生しにくく、農薬使用も少なくて済むんです。』こうした気候風土や自然災害も少ない土地柄から、群馬県の小麦は安定した品質で育成されてきました。その裏付けとして、長く日本の主力品種であった「農林61号」において、群馬県産のものを基準として他県産の品質を図るベンチマークとされてきた背景があります。

『これまで群馬県では中力小麦が長く栽培されてきました。今回の教室リレーでお使いいただいている和麦「黄金鶴」は強力粉ですが、これは「さとのさら」など中力品種の小麦から当社だけのマル秘製粉技術によってタンパクの高い部分をとりわけ強力タイプに仕上げた粉なのです。』日本の製粉会社の技術は実はとても高く、世界の中でも他国の追随を許さないほど高度なレベルを誇っています。

『化学的な成分を添加してタンパクを強化するのではなく、製粉のとりわけ技術だけで強力タイプに仕上げているため元々の小麦の性質が活きているんです。よく和麦の性質として言われる、モチッとした食感や香り高い風味がそっくり表現できる。さらに、もともとが中力タイプの品種の性質を持っているため、パスタやラーメンなどはバランスのよい弾力性が生まれておもしろい食感になると思います。どうぞ、群馬和麦のクッキングを思い切り楽しんでみてください』

星野物産HP http://www.hoshinet.co.jp/

群馬和麦の基本情報

和麦名さとのそら、他
商品名黄金鶴
成 分タンパク:12.5%
灰 分:0.39%
粉分類強力粉
特徴・向く料理 ・国産小麦の性能を格段に高めた製品で、特殊技術により小麦粉に含まれるタンパク質(グルテン)量を調整して高度に強力化しています。
・風味がよく、ボリュームに富んださまざまな各種パンができます。
・グルテンなどの改良剤を使わなくても作用性はよく作れます(活性グルテンなど添加物は一切使用していません)
・フランスパンは外皮がぱりぱり、中がモチッとした食感に仕上がります。焼き色はやや淡く上品な色になります。
・内麦の風味を持ち、中はソフトでモチッとした食感に仕上がります。ボリュームは一般強力粉と同等です。

群馬和麦cookingレポート

群馬和麦アンバサダー
藤野幸子先生

イタリア人が経営する本場イタリアンレストランでの厨房経験をもつ和麦アンバサダー藤野先生。レッスンする品数が多く、また生徒さんの人数も多い藤野先生の教室では、デモンストレーションを交え調理ポイントを解説していきながら、重要な箇所は生徒さんにも体験してもらう方式。今回は、特に和麦に触れてもらう時間を生徒さんたちに楽しんでいただきました♪

Points of 群馬和麦レッスン

『今回の群馬和麦はこねないパンと、シチリアの手打ちパスタに変身します!使う和麦は強力粉なんですが、触った感じは中力粉に似ています。香りもとてもよいですよ。パンにもパスタにも相性がよくて、ちょうどいいモチモチ感を発揮するんです。群馬和麦の魅力をみんなで探っていきましょう♪』

生徒さんの中には「はじめまして」の方も数名いらっしゃいましたが、藤野先生の明るい空気でみなさんがすぐに打ち解け、女子会のような和気あいあいとした雰囲気に。イタリアン気質を受け継ぐ陽気で軽快なトークの中に、レストラン厨房での経験談を随所に盛り込んで展開されていきます。

『まずはパン。今回はバスク地方に伝わる、あまりこねなくていい生地のレシピで作ります。粉の状態によって水分量が変ってくるんですよね。同じ粉でも保管方法が異なれば状態も変わってきます。例えばイタリアで作る際の水分量が50gだったとしても、湿度が違うインドネシアで作る場合は変えないと。イーストによっても水分量は変わってきますしね。ですからみなさん!小麦粉料理はレシピは目安、生地の硬さを覚えることがコツなんです。』『生地の硬さの目安はありますか?』『今回のパンの場合は、生地がダレない程度ですね。手で生地をひとまとめに丸めたときに形が保つぐらい。パスタ生地の場合はまた違いますよ。』

パン生地のデモンストレーションが終わった後は、生徒さんたちも自ら生地を触るパスタの実習へ。
『今日のパスタはイタリアのマンマ直伝のマカロニです(※掲載しているレシピはマカロニより手順の簡単な手打ちパスタとなっています)。パスタの生地はパンに比べると少し硬め。耳たぶよりちょっと硬いぐらいかな。みなさん、しっかり触って硬さを覚えていってくださいね!』

『さあ、これからパスタを成形するのに使う道具はジャジャーン!これなんだかわかりますか!?』生徒さんたちは『なんですか?穴あけ棒?』『特別な道具なんでしょうか?』と、わからないご様子。それもそのはず。『これはね、傘の骨(笑)』ふたたび一同口々に『え~~~!!』と驚きの声が上がります。『イタリアのマンマはね、これでやってました(笑)でも壊れた傘が手元にある方も少ないと思うので、スパゲティの乾麺でもやってみましょう。生地を少し取って、ぐるぐるっと棒に巻き付けて、すっと抜く。ほらね、穴のあいたマカロニのできあがり♪』ふたたび生徒さん一同から『わ~!』と歓声が上がり、体験する実習へ。『先生は簡単そうにやってるけど難しい~!』『こんな感じかな?』みなさんわいわいと楽しみながらマカロニ作りにチャレンジしました。

群馬和麦、いただきます!

『パンの香りが香ばしい~!色もキレイ。そして、最高においしい!』『手打ちパスタ、とってもモチモチしてますね~。このモチモチ感、私好み♪』『さすが国産の小麦!なめらかな食感』テーブルに並ぶお料理も多く、まるでレストランで女子会が開かれているかのような試食会でした。
『パンもパスタも案外ささっとできちゃうでしょ?特にパスタは打ち立てを茹でて食べるとやっぱりおいしいのね。だから家に帰ってもぜひパスタ作りにトライしてみてくださいね!』

レッスン参加者の声

  • 国産小麦の話も聞くことができ、大変勉強になりました。パンもパスタもモチモチで、甘い香り。お土産にいただいた和麦で、私も作ってみたいと思います。

  • 群馬出身でも群馬の小麦のことや良さを知りませんでした。次回帰った時にスーパーで探してみます。いろいろ試してみようと思います!

  • パスタにして作ってみました。セモリナ強力粉と食べくらべてみましたが、群馬和麦の方がもっちりしていて美味しかった!色々とブレンドしてもよさそうで、はまりそうです。

群馬和麦を使ったレシピ

国産小麦 黄金鶴のもちもちパスタ

〈パスタ〉
・黄金鶴・・・100g
・水・・・・・55g

〈ラグ―〉
・豚もも(粗びき)・・370g
・豚ばら(粗びき)・・130g
・にんにく(みじんぎり)大さじ1
・たまねぎ(3mmみじんぎり)2個
・にんじん(3mmみじんぎり)2/3本
・セロリ(みじんぎり)・・1/2本
・ナス(5mm角切り)・・・2本
・乾燥タイム・・・・・少々
・塩・・・・・・少々
・コショウ・・・少々
・粉とうがらし・・・少々
・パルメジャーノ・・・適量
・白ワイン・・・150㏄
・トマトホール・・・600㏄
・EXVオリーブオイル・・・適量

調理時間 約120分/6人分

  • 1

    たまねぎ、にんじん、セロリをオリーブオイルでやわらかくなるまで、じっくりといためる。

  • 2

    ナスは、オリーブオイルでいためて、塩をして乾燥タイム少々をちらす

  • 3

    肉は、塩少々で下味をつけておく。

  • 4

    別の鍋で、にんにくをオリーブオイルでいため、香りがでたら肉をいれて、さらによくいためる。

  • 5

    さらに白ワインを加え、すべてとばし、①の野菜、トマトを加え1時間半弱火で蓋をして煮込む。(途中必要なら水少々たす)

  • 6

    最後に味をみて、塩、こしょう、粉とうがらしを加え、②のなすを加える。

  • 7

    パスタを作る。黄金鶴に水を加えて、ねって、2mmにのばして、包丁で5mm幅にきる。

  • 8

    塩少々をいれた湯でゆでて、⑤のソースに加える。

  • 9

    皿に盛り付け、エキストラバージンオリーブオイル少々をかけて、香りをつけて、パルメッジャーノを適量かける。

レシピポイント

玉ねぎ、にんじん、セロリは細かいみじんぎりにして、野菜がとろりやわらなくなるまで弱火でいため、焦げないようにしましょう!