和麦ストーリー 
北海道和麦「春よ恋」篇

国産小麦の約7割が生産されている北海道は、圧倒的なシェアを誇る和麦大国です。湿度が苦手な小麦ですが、北海道は比較的乾燥した広い大地が広がっており、小麦の育成環境的に好条件。“和麦ブーム”が到来しているいま、北海道和麦は全国区で大量流通が可能な品種から、個性ある品種まで、実にさまざまな和麦が育まれています。その品質への評価も高く、各地域の和麦産地のベンチマークともなっています。

>北海道和麦のほとんどが中力小麦の「きたほなみ」で、うどん用の品種です。しかし近年、パン用の強力小麦から超強力小麦まで、さまざまな品種が研究開発され、育成されるようになってきました。 今回の和麦cooking教室で使用した「春よ恋」は、平成12年に民間の研究機関(ホクレン農業総合研究所)が育成した小麦です。人気品種「ハルユタカ」を親に持ち、ハルユタカの美味しさを引き継ぎながらも、赤かび病や穂発芽に弱いというハルユタカの欠点を改良した、北海道春まき小麦のエース的存在です。

和麦の一大生産地である北海道ですが、北海道内での北海道和麦消費はわずか1割。北海道和麦の9割が道外に出荷されてしまい、地元の方々が食べられる機会が少ないのが現状です。この状況にストップをかけるべく、「麦チェン!北海道」プロジェクトを始め、地産地消を促進するさまざまな取り組みがスタートしています。

「麦チェン!北海道」HP
http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ns/nsk/mamemugi/mugi_change_top.htm

北海道和麦の基本情報

和麦名春よ恋
商品名春のいぶき
成 分タンパク:12.0% ±0.5%
灰 分 :0.47% ±0.05%
粉分類強力粉
特徴・向く料理 ・「春よ恋」は国産小麦の中でもタンパク量が多い強力系品種で、
 パン用としては国内最高品質を誇ります。
・やさしい甘さや豊かな香り、もちもち感が特徴です。
・吸水も窯伸びも良く、扱いやすい小麦粉です。
・パンはもちろん、ラーメン、パスタ、ピザなどにもおすすめです。

北海道和麦cookingレポート

北海道和麦アンバサダー
岡本由香梨 先生

『今日は北海道和麦「春よ恋」で、中華の七変化にチャレンジしましょう!メニューは「ホタテまん」「刀削麺」「棒餃子」の3品です。』北海道和麦のアンバサダー岡本先生は、小麦がさまざまな料理に“七変化するチカラ”を活かし、“和麦つくりくらべin中華三昧”にトライ。さてさて、「春よ恋」はどのような味わいに七変化を遂げるのでしょうか!?

Points of 北海道和麦レッスン

『後で食べてもらうとよくわかっていただけるかなと思うんですけど、北海道和麦は甘みがあってモチモチッとした食感に仕上がりますね。ではまず、それぞれの生地を作っていきましょう。』

少人数制にこだわりじっくり対話する岡本先生のcooking教室は、デモンストレーション形式ではなく実際に生徒のみなさんに作っていただく実習形式。『通常の中華まんは薄力粉を使って作ることが多いんですけど、今日は強力粉で作ります。薄力粉の場合だとベーキングパウダーでもいいんですけども、強力粉の場合は発酵力が強いドライイーストを使いますよ。さらにここにスキムミルクを入れていきます。生地がこねやすくなると言われているんですね。』などなど、ご家庭cookingにうれしいちょっとしたコツやアイデアを、きめ細かく丁寧なアドバイスとともにレッスンが進行していきます。

『「刀削麺」と「棒餃子」の生地に関しては水道水の冷水でOKですが、ドライイーストが入る「ホタテまん」に使うお水はぬるま湯を使います。もう10月になると気温が下がってきますからね、寒くなってきた時期はちょっとぬるま湯。これぐらいの季節になってくると冷水だと寒すぎて全然発酵していかないんだよね。』といった、北の大地・北海道ならではのアドバイスも。

実験♪北海道和麦LABO

一通り料理の行程が終わって生地を寝かせたりといった時間で、岡本先生が北海道和麦をつくりくらべて研究した“北海道和麦LABO”コーナーがはじまりました!

『北海道和麦でパンは作るけど、ほかの料理の食材としてはあまり意識してこなかったかも。よし、実験してみよう!ということで、実際にから揚げを揚げくらべてみました。から揚げは片栗粉で揚げることも多いですけど、小麦粉を使うと時間が経ってもペチャっとしないので、お弁当用に作る際などにおすすめですよ。』なるほど、なるほど、とメモを取るみなさん。

『それぞれ北海道産の薄力粉、外国産の薄力粉、道産の強力粉で揚げたものです。みなさん違いわかりますか???』と3種類のから揚げが乗ったお皿を見た生徒さんたちから『色がぜんぜん違う~!』『北海道産の薄力粉、ほんとにおいしそうに揚がってますね!』との声が。

『でしょ!私もね、実験していてひとりで興奮してました(笑)え~~~、なんでこんなに違うの~!?って。食感もさっくりとして、衣がしっかり揚がっている感じ。次は、みなさんが作った中華まんの皮でも試してみましょう!』

北海道和麦、いただきます!

『わ~、豪華な中華セット!』湯気のあがる北海道和麦の七変化がテーブルに並びました。『それではいただきます!』『ほんとだ、肉まんもモッチリ、刀削麺も食べたことのないモチモチ食感。』『餃子も皮がぷるぷるでおいしいですね~』と、試食大会スタート。ここで岡本先生が冷蔵庫からお皿を取り出します。

『これは今日つくったホタテまんの皮の部分だけを、北海道和麦の強力粉と外国産強力粉で蒸しらべて冷ましておいたものです。ホタテまんはしっかり味がついちゃってるから皮だけの味って言われたときにちょっと感じにくいのと、あったかいホタテまんはそれだけでおいしいですからね(笑)冷ますと味の違いがクリアにわかりやすいと思います。さあ、食べくらべてみましょう』

『これも色が違うんですね~!』『うん、味もぜんぜん違う!北海道和麦の方が甘い感じがするかな。』『食感も違いますね。北海道和麦はモッチリとしていて、外国産小麦の方が歯切れがいい』食べくらべることではっきりと違いを体験した生徒さんたちから、感動の声が次々に上がりました。これぞ、和麦LABO!ですね。

『小麦が料理の主役として存在するパンや麺はもちろん、和麦の味わいを思う存分に感じることができると思います。ただ、今回の和麦実験を通して実感したことは、主役の食材にならないレシピこそ、ほかの食材を活かす重要な隠し味としてチカラを発揮するんじゃないか、ということでした。これからもまだまだ北海道和麦の可能性を探っていきたいですね。』

レッスン参加者の声

  • こんなに違うんだ!というのが、食べくらべで実感できました!

  • 価格が少し高いので今まで積極的に使おうと思っていませんでしたが、パン以外にもいろいろな料理に使って試してみる価値がありそう。

  • スーパーでも気軽に買えるんですね。今度チェックしてみます!

  • “ふわもちっとした食感”が、小麦粉でこんなに違うとは思いませんでした。北海道和麦は冷めても美味しいのがいいですね♪

  • 北海道が生産量1位なことは知っていましたが、日本が世界とくらべてこんなに生産量が少ないとは知りませんでした。

北海道和麦を使ったレシピ

冷めても生地がモチモチ!旨味たっぷりホタテまん

<皮>
★春のいぶき・・・200g
★ドライイースト・2g
★スキムミルク・・大さじ1
★砂糖・・・・・2g
・ぬるま湯・・・140ml
・太白ごま油・・小さじ2

<具>
・ホタテの子・・・60g
・玉ねぎ・・・・・60g
・オイスターソース 小さじ1
・醤油・・・小さじ1
・水・・・大さじ2

<水溶き片栗粉>
・片栗粉・・・小さじ1/2
・水・・・小さじ1/2

調理時間 約20分(発酵時間除く)/6個分

  • 1

    皮をつくります。ボウルに★を混ぜ、太白ごま油とぬるま湯を混ぜたものを少しずつ加え混ぜる。台に取り出し約5分こねる。

  • 2

    乾燥しないように約30分発酵させる。

  • 3

    具をつくります。ホタテの子を小さめの一口大に切り、玉ねぎをみじん切りにする。

  • 4

    鍋に水溶き片栗粉以外の材料を加え、落し蓋をして帆立に火が通るまで弱火で約3分煮込む。

  • 5

    火を止め、水溶き片栗粉でとろみをつける。再び火をつけ、軽く沸いたらバット等にあける。完全に冷ます。

  • 6

    打ち粉(強力粉)をした作業台で生地を6等分にし、中心を厚めに直径10cmにのばす。

  • 7

    中心に具をのせ、生地の4方向ををつまみ中心に寄せる。乾かないように15分休ませる。

  • 8

    蒸し器に並べ、中火で約10分蒸す。

レシピポイント

生地がゆるい場合は、手に強力粉をつけて捏ねましょう。太白ごま油は香りの少ない油です。無い場合はサラダ油で構いません。ホタテの子は北海道のスーパーでは定番のホタテの旨味が強い商品です。無い場合はベビーホタテを使いましょう。北海道産強力粉を使うことにより、冷めても甘みが強く香り、色が良いです。薄力粉に比べるとモチモチとした食感になります。