国産小麦の一大生産地、北海道の現場から

国産小麦業界を牽引する
堂々№1の和麦の産地、北海道。

小麦は湿度が苦手です。
だから、蒸し暑い夏がある日本の気候は栽培に適さないといわれています。
事実、日本国内で使われている小麦のほとんどは、実は外国産のもので、
小麦の自給率は実に約12%(農林水産省「総合食料自給率」平成25年度)。
そんななか、国内でも比較的乾燥した広い大地が広がる北海道は、
2位以降を引き離して圧倒的なシェアを誇り、国産小麦全体の約7割を生産しています。
そんな一大国産小麦の生産地、北海道の現場に迫ります。
農林水産省「総合食料自給率」平成25年度

製粉のお話:「江別製粉株式会社」専務取締役 安孫子俊之さん

北海道ブランドの維持と向上のために。
広い大地に根づく、製粉会社の使命があります。

地産地消などの動きが増えてきた昨今、
国産小麦を使うパン屋さんも増えてきましたが、 ほんの25年ほど前まえでは国産小麦の流通量自体も希薄で 「国産小麦を使っています」と珍しいポイントとして売り出すパン屋さんもありました。
今は国産小麦を使っていても国産です、と謳わないパン屋さんも増えてきましたね。
しかも、「珍しい小麦粉だから使う」というわけではなく、「おいしい小麦だから使う」選択肢の中のひとつとして選ばれはじめています。
そしてそのなかでも北海道産小麦は“道産ブランド”として浸透しつつあります。
いま、この“道産ブランド”をさらに強固なものとして確立し、その品質を保ちながらさらに価値を高めることが北海道に根付く製粉会社としてあるべき企業努力なのではないかと思っています。
今年ここ江別で「小麦フェスタ」というイベントを開催しましたが、そういった催し物もブランド維持・向上の取り組みのひとつ。
その狙いとしては2つのポイントがあります。
ひとつはワークショップを開いて道産小麦のおいしい食べ方を知ってもらう一般のお客さまへのPRの場という側面。
そしてもうひとつ、小麦に携わる方々をつなげる場づくりです。
小麦は畑から食卓までが遠い作物です。
自分が作った小麦がどのように使われているか知る機会が少ない農家さんにイベントでのお客さんとの交流を通じて道産小麦の食卓を知ってもらったり、道産小麦の現状と期待を話し合う特別フォーラムなどで必要とされる情報やニーズをベーカリーのシェフと直接意見交換してもらう。
“畑から食卓まで”小麦の関係者をつなげることで、相乗効果で道産ブランドを育む。
イベントはそうした小麦関係者をつなぐ仕掛けのひとつですが、農作物と食材の真ん中にいる製粉会社だからこそ、の活動にこれからも取り組み続けていきたいと思っています。
そのような“道産ブランド”の品質維持・向上を支えた上で、小麦粉の背景にあるものまでをきちんと伝えなければいけないと思うんです。
北海道外の方にお届けする際も、単に北海道の小麦粉ですよ、とお渡しするのではなく、挽いた小麦はどのような畑で育てられているのか、
いま北海道はどんな気候で、どのような食材が旬なのか。
北海道の小麦粉ならではのおいしい七変化を引き出すために、どう料理するかを思い描いて使ってもらえる商品として
北海道を知らないお客さまにもお伝えしなければならない。
生産者・生産地とユーザーの橋渡しをきちんとしていく、それが北海道という大地に根を張る製粉会社の使命だと思っています。

江別製粉株式会社
http://haruyutaka.com/

小麦フェスタ2014 in えべつ

国産初の本格的パン用小麦を栽培した
江別の大地から、和麦の魅力発信!

「小麦フェスタ2014 in えべつ」は、4年に1度ごとに北海道江別市で開催される小麦の魅力を発信するイベントです。
江別市ではここ10数年に渡り「全国焼き菓子コンペ’98in江別」「菓子祭り2002 in 江別」「小麦フェスタ2006 in 江別」
「コムギフェスタ2010 in えべつ」といった、小麦の魅力を発信するさまざまなイベントが行われてきました。
その間、小麦の新しい品種が作付けされ、また、姿を消した品種がある中で、国産初の本格的パン用小麦の品種である「ハルユタカ」は
今もなお、江別市で脈々と栽培され続けています。
「小麦フェスタ2014 in えべつ」は、小麦をとりまく江別市の思い、その根底にある生産者と関係者のストーリーの一端に触れてもらい、江別の小麦を一段と味わい深いものとするためのイベントです。
2014年は市制施行60周年の記念の年でもあるため、江別の魅力、とりわけ「食」についてのイベントを結集し、まとめてお届けする企画として「農業まつり」「まるごと江別2014」と同日開催され、地元の方々も驚くほどのにぎわいぶりとなりました。
<主なイベント>

●小麦フォーラム

「パン業界における北海道産小麦の現状と可能性~そしてハルユタカは?」
◎基調講演
株式会社満寿屋商店 代表取締役 杉山雅則 氏
◎トークセッション
コーディネーター コムギケーション倶楽部シニアスーパーバイザー 佐久間良博 氏
パネリスト シニフィアン シニフィエ シェフ 志賀勝栄氏
敷島製パン㈱研究開発部パン開発グループ 栗田木綿子 氏
パンコーディネーター 森まゆみ 氏
JA道央江別市畑作生産部会 部会長 萩原英樹 氏

●「美味しい江別」市民企画

江別素材を楽しもう!「おいしいサンドイッチ」の作り方
~丸の内シェフズクラブによる、実演ワークショップ~
イグレックマルノウチ 総料理長 山口浩 シェフ
ル・コルドン・ブルー エグゼクティブシェフ ドミニク・コルビ シェフ

●プロジェクション・マッピング

北海道情報大学の学生チームによるハルユタカの小麦畑を色鮮やかに演出したプロジェクション・マッピング「はるゆたかのゆめ」の上映

●おいしいパン屋さんが江別に大集合!

市内・市外からパン屋さんが一堂に会しパンを販売

[出典店舗]
◎シニフィアンシニフィエ(東京世田谷)
◎Pasco夢パン工房(札幌手稲区)
◎ますやパン(十勝)
◎パン屋Sora(江別)
◎ブランジェールラパン(江別)
◎ベーカリー・ノイエ(江別)
◎ベーカリー・もみの木(江別)
◎BAKERY KITCHEN P(江別)
  • 鳥取「大山こむぎプロジェクト」の現場から
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